平成31年1月

平成30年度景気動向等に関する会員意見調査 結果概要報告

全般的な景気動向について

  1. 2016年半ばより持続してきた世界経済の拡大基調を受けて、我が国の企業収益、雇用など多くの指標も景気が緩やかに拡大していることを示しているが、米国と中国との貿易戦争や米国株の下落などの不安材料があり、日本でも株価が下落するなど景気や業績への影響が懸念され始めている。
    そうした中、当面の景気動向については、「ほぼ現状で推移」72.4%(前回56.5%)と大幅アップの第1位となっているが、「徐々に悪化」が15.1%(前回2.5%)で第2位に浮上、「徐々に拡大基調」が11.7%(前回34.8%)で第3位に後退している。景気の拡大は緩やかに維持・継続しているが、懸念材料もあり先行きの見通しがやや厳しくなっている状況も現れている。
  2. 景気が拡大・現状推移と回答した中で、景気拡大はいつ頃本格化するかとの問いには、平成31年7~9月20.5%で1位、同年4~6月が17.2%で2位と31年前半の回復を予想する回答が上位を占めた。同年10~12月が10.7%で3位となっている。
  3. 景気の先行き懸念材料としては、「米国トランプ政権の動向」49.7%で1位(前回36.0%)、「中国経済の動向」47.6%で2位(前回26.1%)になったことが注目されるとともに、「米国経済の動向」が34.5%(前回14.9%)で3位となり、米中貿易戦争を発端とした世界経済、日本経済への影響等に対する不安の高まりが際立った。前回第一位の「人手不足への不安」32.4%(前回46.6%)が第4位とやや後退した。また、本年10月に予定されている「消費税増税」29.7%(今回初設問)が第5位の懸念材料となっている。
  4. 円相場の今後の予想について、110円前後53.1%(前回54.0%)と1位となり、115円前後が31.0%(前回34.234.2%)で昨年同様の見通しとなった。
    また、自社として望ましいレートについても、同じく110円前後35.9%(前回34.2%)で1位となった。

企業活動について

業況

10~12月は「不変」59.3%(前回49.1%)と前回同様1位になったが、「上昇」が22.8%(前回42.9%)と減少し、一方「下降」が15.9%(前回5.6%)と増加しており、成長の勢いがやわらぎ、いくぶん停滞減速の傾向も見えてきている。1~3月についても、ほぼ同様の回答となった。

生産・売上高

業況の状態を裏付けるように「不変」56.6%(前回42.9%で2位)で1位となり、これに対し前回1位の「増加」が27.6%(前回48.4%)で2位と順位が入れ替わった。「減少」は14.5%(前回7.5%)で3位であった。1~3月の予想も同様の流れとなった。

在庫

10~12月は「適正」83.4%(前回75.2%)で1位、1~3月の予想でも86.2%で1位となり、改善傾向が明確になってきた。

収益

「不変」62.1%(前回48.4%)で1位、そして「好転」は2位で23.4%(前回37.3%)と減少した。1~3月の予想でも同様の流れとなった。

資金繰り

10~12月は「普通」74.5%(前回71.4%)で前回同様1位、1~3月の予想でも「普通」が71.0%と大きな変化はなかった。

設備機器

「適正」80.0%(前回80.7%)を占め、「不足」は、15.9%(前回11.8%)でやや不足感が増加している。

雇用状況

成長に幾分か停滞・減速感が見えてはきたものの景気回復に伴う「人手不足」は依然として顕著であり、特に技術・開発部門「不足」が61.4%(昨年56.5%)、現業部門でも52.4%(昨年51.6%)と昨年より増加している。更に事務・間接部門、営業部門では「充足(適正)」が従来通り1位ではあるが、両部門とも前回同様「不足」の回答が高い水準となっている。

設備投資

「本年度と同規模」が51.0%(前回46.6%)で1位、「本年度より増額」が26.2%(前回31.1%)で2位となっており、「新年度は実施を見送る」は0.7%(前回2.5%)である。一方「本年度より減額」が13.1%(前回8.1%)であり、やや縮小の気配もあるが、本年度に続き新年度の設備投資も活発に行われる見込みとなっている。
内容としては、「更新投資」が61.1%(前回55.8%)で1位であるが、能力増強投資51.9%(前回52.2%)も昨年に続き過半数を占め、技術革新・新製品開発投資が39.7%(前回37.7%)、新事業・新製品開発投資が36.6%(前回33.3%)と増加し、ロボット投資が10.7%(今回新設)、AI投資も7.6%(今回新設)と前向きで積極的な設備投資が計画されている。

当面の経営課題

「人材の育成」が57.2%(前回60.2%)で6年連続第1位と依然として重要な課題となっている。ここ数年、AIやIoT、ロボットなどモノづくり技術が急速に進歩し製造業が一大変革期に入るなか、これらの情報収集や活用についての研究を深めることが求められており、技術や生産の革新を支える人材の育成が、多くの企業にとって大切となっていることがうかがえる。
「人手不足への対応」は46.2%(前回45.3%)で昨年に続き第2位と高い水準が続いている。人手不足は改善されておらず、特に中小企業では新卒の採用が全く取れない厳しい状況が続いている。
働き方改革を進めるためにも欠かせない「生産性向上への取組み」は34.5%(前回36.0%)と第3位で、4年連続して3割を超える企業が課題として回答している。
また、4位以降には、「売上・受注維持向上」30.3%(前回28.6%)、5位「技術力強化」26.9%(前回23.6%)、6位「営業・マーケティング力強化」21.4%(前回28.0%)と続いている。
第1位から第4位まで前回同様の順位で、5位と6位が入れ替わった結果となった。
一方、「IoTへの対応」3.4%(前回4.3%)、「ロボット、AIへの対応」5.5%(前回はAIへの対応のみ設問5.0%)といずれも前回と同程度の割合であり、いずれも当面の課題としている企業の割合は小さい。

働き方改革について

(新設問・法の適用開始時期が異なるため大企業と中小企業を分けて分析)

働き方改革関連法の内容について

中小企業では、「やや理解している」61.1%で第1位、「よく理解している」25.9%で第2であったが、大企業では「よく理解している」57.1%が第1位、「やや理解している」34.3%で第2位であり大企業の方が理解が進んでいる状況である。また一方、本年4月から一部規制が適用される大企業でも「あまり理解していない」8.6%、来年4月から一部適用が始まる中小企業では「あまり理解していない」10.2%「理解していない」2.8%もあることから、制度の更なる周知が必要な状況である。

働き方改革への取り組みについて

中小企業では「取り組みを検討中」56.5%で第1位、「既に取り組んでいる」33.3%で第2位となった。また、「取り組んでいない」が9.3%あり、「その他」として「中小企業で実行するのは大変」という特記も見られた。このように中小企業では約7割が働き方改革に取組めていない一方、大企業では「既に取り組んでいる」74.3%を占めており、「取り組みを検討中」25.7%であった。大企業と中小企業では、その取り組み状況に大きな差がある。

取り組み内容

取り組み内容についても大企業と中小企業では、3位以降で大きな違いが見られた。まず、「時間外労働(残業時間)の上限規制」が中小企業86.1%、大企業92.3%で第1位、「有給休暇の取得義務化」が、中小企業75.0%、大企業76.9%で第2位と大企業と中小企業でほぼ同様の状況となっている。しかし3位以降では、その実施割合に大きな違いが見られる。規模の大小に関わらずいずれも第3位は「フレックスタイムの導入」であるが、中小企業の16.7%に対し大企業61.5%と大きな開きがある。また、「在宅勤務の導入」については、大企業は34.6%であるのに対し中小企業は5.6%「勤務時間インターバル制度の創設」は、大企業で30.8%であるのに対し中小企業11.1%となっており、3位以降の取り組みは、大企業での導入が大きく先行している状況である。

働き方改革に取り組む上で問題となっていること

「生産性向上(生産性改革)と併せて実施する必要がある」が、中小企業74.1%、大企業88.6%と第1位で企業規模に関わらず最大の課題となっており、働き方改革には生産性向上の取り組みが不可欠であることが再確認された。第2位は「人手が不足している」で中小企業では半数を超える56.5%、大企業でも37.1%と大きな割合を占め、人手不足も大きな障害であることが伺える。第3位 は「仕事が忙しい」中小企業43.5%、大企業34.3%と、第1位から第3位までの問題は規模に関わらず多くの企業が抱えている。また、中小企業においては、「どのように対応して良いかわからない」の回答も7.4%あり導入への支援も必要となっている。

働き方改革を進める上で取り組んでいる、又は取り組みたい対策

規模の大小を問わず大多数の回答が得られたのが「従業員の教育・訓練」で、中小企業83.3%、大企業74.3%を占め第1位となった。第2位以下は、大企業と中小企業では大きく異なる順位、割合となった。「従業員の新規採用」が中小企業は58.3%の第2位で人への投資による対策が上位を占めたが、大企業では31.4%で割合としては少なくは無いが第6位に位置した。一方、大企業の第2位は「RPAの導入」57.1%(中小企業13.0%で第6位)、第3位「AIの導入」51.4%(中小企業20.4%で第4位)、第4位「IoTの活用」45.7%(中小企業25.9%で第3位)、第5位「ロボットの導入」34.3%(中小企業19.4%で第5位)と大企業では最新技術導入が高い割合で続いており人材への投資と併せた様々な先進的な対策がなされ、或いは見込まれていることが伺える。これらの高度な技術的対策については中小企業へも徐々に導入が進んできてはいるが、その動きを加速させるためには更なる最新情報の提供や導入支援が必要である。