令和2年3月

令和元年度景気動向等に関する会員意見調査 結果概要報告

全般的な景気動向について

  1. 新型コロナウイルスの感染拡大が危惧され、わが国はじめ世界経済への影響が懸念され始める中で今回の調査を開始したが、調査期間中に新型コロナウイルスの感染が急激な勢いで拡大したため、世界的に経済活動が大きく停滞し、株価や為替も大きく変動した。そうした中、当面の景気動向については、「徐々に悪化」52.5%(前回15.1%)で1位となり、前回の2位から大きく増加し、前回1位の「ほぼ現状で推移」が27.2%で2位になり、前回の72.4%から大幅にダウンした。「更に悪化する」が19.1%(前回0%)で3位、「徐々に拡大」は1.2%(前回11.7%)に過ぎず4位になっており、前回の調査から一転して景気の先行きへの見通しが厳しくなっている。
  2. 景気が徐々に悪化・更に悪化と回答した企業では、景気回復はいつ頃から始まるかとの問いについては、令和2年10~12月29.3%で1位、同年7~9月が19.0%と上位を占め、令和3年4~6月が12.9%で3位となっている。
  3. 景気の先行き懸念材料としては、「新型コロナウイルスの影響」79.6%で1位、「中国経済の動向」が78.4%で2位(前回47.6%)と突出しており、「国内消費の動向」が27.2%(前回16.6%)で3位となり、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済、日本経済への影響に対する不安の高まりが際立った。前回1位の「米国トランプ政権の動向」は21.6%(前回49.7%)にとどまり、「米国経済の動向」21.6%(前回 34.5%)とともに5位となり、主役の座から後退した。
  4. 円相場の今後の予想については、110円前後73.5%(前回53.1%)と前回同様1位であるが、回答企業が大幅に増えた。さらに、前回2位の115円前後が6.2%(前回31.0%)と3位に後退し、100円前後が13.6%(前回5.5%)で2位となり昨年の4位から浮上するなど、円高方向への予想が増えた。
    また、自社として望ましいレートについても、同じく110円前後45.7%(前回35.9%)で1位となった。

企業活動について

業況

10~12月は「下降」48.8%(前回15.9%)と大きく増加して前回3位から1位になり、「不変」が35.8%(前回59.3%)と減少。一方「上昇」が13.6%(前回22.8%)と減少しており、これまでの成長から、停滞減速の傾向に転じてきている。1~3月についても、下降が一層多くなり56.8%の回答となった。

生産・売上高

業況の状態を裏付けるように「減少」46.9%(前回14.5%)と大きく増加して前回3位から1位となり、これに対し前回1位の「不変」が34.6%(前回56.6%)で2位となり、「増加」は16.7%(前回27.6%)で前回の2位から3位に後退した。1~3月の予想も同様の流れとなり、「減少」が55.6%と過半数となった。

在庫

10~12月は「適正」77.8%(前回83.4%)で1位ではあるが、「過剰」が14.8%(前回5.5%)と増加して2位となり、「不足」が3.7%(前回8.3%)で3位となった。2位と3位が入れ替わり、過剰が増加しており、1~3月の予想でも同様の傾向となっている。

収益

「悪化」45.1%(前回12.4%)と急激に増加して前回の3位から1位、そして「不変」は38.3%(前回 62.1%)と減少して前回の1位から2位となった。1~3月の予想でも同様の流れで悪化の予想が一層強くなっている。

資金繰り

10~12月は「普通」77.8%(前回74.5%)で前回同様1位、「楽」が13.6%で2位、「苦」が6.8%で3位と、順位は変わらないものの「楽」は減少し、「苦」は倍増した。1~3月の予想でも「普通」が73.5%と大きくは変わらないものの「苦」が13.6%と増加し2位になり、「楽」と順位が入れ替わった。

設備機器

「適正」80.2%(前回80.0%)を占め1位であるが、「過剰」が8.6%(前回2.8%)と前回の3倍以上に増加している。1~3月の予想でも同様の流れとなった。

雇用状況

全体として改善傾向がみられ、技術・開発部門においては「人手不足」51.9%(前回61.4%)と引き続き1位であるが、前回よりやや減少しており、「充足」が42.6%(前回36.6%)と増加している。現業部門では「充足」54.3%(前回44.8%)と1位になり、「不足」は35.8%(前回52.4%)2位で、順位が入れ替わっている。事務・間接部門、営業部門では前回に引き続き「充足」が1位であり、「不足」の回答が前回より減少し、充足度を増してきている。

設備投資

全体として縮小傾向が顕著であり、「本年度と同規模」35.2%(前回51.0%)で1位、「本年度より増額」が19.8%(前回26.2%)で2位であるが、いずれも前回よりかなり減少している。さらに、「本年度より減額」が17.3%(前回13.1%)、「新年度は実施を見送る」は8.6%(前回0.7%)と増加している。
内容としては、「更新投資」53.0%(前回61.1%)で1位であり、「維持・補修投資」が50.4%(前回50.4%)で2位となっているが、「IT・情報化投資」49.6%(前回38.9%)で3位、「技術革新・研究開発投資」が41.0%(前回39.7%)、「新事業・新製品開発投資」が39.3%(前回36.6%)、「ロボット投資」が12.0%(前回10.7%)などは前回より増加しており、積極的な設備投資も計画されている。

当面の経営課題

「人材の育成」52.5%(前回57.2%)で7年連続1位と依然として重要な課題となっている。IoT への対応やロボット・AIなどの導入によりモノづくりの現場が急速に変化・発展する中、これらを活用するための教育や情報収集が重要になり、また、関連する研究や技術開発など生産革新を支える人材の育成が、多くの企業にとって重要になっている。
「受注・売上維持向上」41.4(前回30.3%)で昨年の4位から2位になり、景気が後退し生産・売上高が減少する中で課題として浮上してきている。
3位は働き方改革を進めるためにも欠かせない「生産性向上への取組み」32.7%(前回34.5%)となり、5年連続して3割を超える企業が課題として回答している。
また、4位は「人手不足への対応」29.6%(前回46.2%)で、前回の2位から順位を下げた。5位の「営業・マーケティング力強化」23.5%(前回21.4%)、6位の「技術力強化」21.6%(前回26.9%)などが上位の課題となっている。

外国人材の採用について(新設問)

外国人材採用の有無について

「採用している」51.9%で1位となり、回答企業の半数以上が外国人材を採用している。「採用も検討もしていない」は29.6%であったが、「採用していないが、検討している」14.8%あり、人手不足の状況が長く続く中、多くの企業が外国人材を採用し、今後の採用を検討している。

外国人材の在留資格と人数について

採用している外国人材の在留資格では、「技能実習生」19.1%で1位、31社で採用人数は594名おり、外国人材1,113人の半数以上となっている。「高度外国人材」17.9%で2位、29社で152名、「その他」16.7%で3位、27社で180名の日本人の配偶者や永住者などを採用している。「特定技能外国人」9.3%で15社168名、「留学生」4.9%で8社19名などとなっている。

《これ以降は、「高度外国人材」と「特定技能外国人」を採用している企業の状況》

外国人材の国籍

「中国」「ベトナム」国籍の人材を採用している企業が同率1位の47.6%20社で最も多く、続いて「韓国」が26.2%11社、「インド」が9.5%4社、「タイ」と「フィリピン」「マレーシア」「イギリス」が同率で7.1%3社などとなっており、アジアからの人材が圧倒的に多い。

外国人材の募集方法について

「日本国内や海外にある日本語学校などと連携する」が1位で50.0%21社であり、「外国人紹介に特化した就職サイトに求人掲載する」と「公的機関(ハローワーク等)に依頼する」が同数の2位で33.3%14社である。「外国人向けの就職イベント・セミナーに参加する」と「ビジネス向けSNSを活用してスカウトを行う」が続いて同数で14.3%6社となっている。

外国人材の活躍について

「ほぼ期待通りの活躍である」が1位で78.6%であり、「期待以上の活躍をしている」が2位で19.0%あり、ほとんどの外国人材が高い評価を得ている。「期待ほどではないが、いないと困る」と「その他」が各1社で、「期待はずれ」は全くなかった。

外国人材を採用する際に困っていることについて

「本人の能力の判定が難しい」が1位で50.0%21社であり、採用時の見極めの難しさが際立っている。「社内の受け入れ体制が十分に整備されていない」と「雇用手続きが煩雑」が同数の2位で33.3%14社であり、「採用コストが高い」、「信用できる窓口がない」等が続いている。

外国人材を活用する上での課題について

「言葉の違い」が1位で54.8%、続いて「キャリア形成など将来の活用方法の整備」が42.9%で2位、「生活習慣の違い」が35.7%で3位、「働く上での常識(報・連・相、5Sなど)」が4位で23.8%、「住居の確保」が5位で21.4%などとなっている。

課題解決のために取り組んでいること、取り組みたい対策について

「日本語教育の実施」が1位で45.2%、続いて「交流イベント等による会社への帰属意識の向上」が38.1%で2位、「働く上での常識教育の実施」が35.7%で3位、「教育研修プログラムや人事制度の整備」が4位で31.0%、「住居などの保証人引受」が5位で26.2%などとなっており、様々な工夫や取り組みにより、外国人材の活用を進めている。

まとめ

昨年4月の改正出入国管理法施行で導入された新たな在留資格「特定技能」を含め、会員企業における、外国人材の雇用は相当進んでおり、今後も採用を予定する企業が多くなっている。採用の段階では本人の能力の判定が難しいが、日本語学校などからの紹介により採用し、ほぼ期待通りかそれ以上の働きをしているとする企業が多い。言葉の違いが大きな課題となっているが、課題解決のため日本語教育に力を入れるなど、能力発揮のために積極的に取り組んでいる。今後、外国人材の採用を促進するため、日本語学校等採用支援機関の情報提供とともに、企業における教育研修プログラムや人事制度整備への支援が必要である。